あなたは正しく本革・天然皮革・合皮の違いを答えられますか?
ショップで革財布やキーケースなど革小物を手にとった時、商品タグにある「本革」や「合皮」などの表記に疑問を感じたことはありませんか?
なんとなく雰囲気では分かっていても説明までは自信がない…。そんなあなたに、「今日から革通になれる」情報をご紹介いたします。
まずは、本革と合皮の見分け方から、それぞれの特徴をつかんでいきましょう。
本革とは
革製品といってもさまざまな種類があります。
牛・馬・山羊・羊・鹿・ダチョウといなど、動物の革全般を本革(天然皮革)といいます。 「天然皮革」とは読んで字のとおり、動物の皮を使用した素材です。
人間の皮膚も人それぞれ個性があるように、動物の皮にも毛穴や血筋、バラ傷に虫刺されの跡などが見られるため、その個体差が天然の証とされます。
また、動物の種類や年齢によって本革の質感や呼び方が変わります。
【本革の特徴】
素材 | 天然の革・通気性がよい |
重さ | 重い |
耐久性 | 丈夫・経年変化を楽しめる |
寿命 | 10年程度(お手入れ次第では10年以上) |
価格 | 高価 |
合皮との違いを比べると、重厚感あふれる風格を醸し出しているのが本革です。なめし加工の際に使われる薬品など特有の匂いがあるので、手にした時に違いを感じられます。
合皮とは
天然の布地に合成樹脂を塗布し、表面を天然皮革に似せたものを合皮(合成皮革)といいます。 フェイクレザーと呼ばれる場合もありますが、意味は一緒です。
合成樹脂によく使われているのが、ポリ塩化ビニールやポリウレタン樹脂で、ビニールやプラスチック素材に類似し、水をはじくため汚れに強いのが特長です。
革の質感を人工的に作っているので、本革との品質にあまり差は出ません。
ビジュアル的には革の素材感が出ていますが、手触りなどの感触は再現できないため、物足りなく感じる場合もあります。
【合皮の特徴】
素材 | 繊維質・汚れにくい |
重さ | 軽い |
耐久性 | 低い・経年劣化で加水分解する場合がある |
寿命 | 3年程度 |
価格 | 安価 |
合皮によく使われるポリウレタンは、空気中の水分と結合して徐々に劣化していきます。これを「加水分解」といい、未使用であっても少しずつ劣化は進んでいきます。 そのため、合皮の寿命は製造から3年程度といわれています。
表面が徐々にベトベトになり、進行すると表面のひび割れが進んでボロボロになってしまいます。お手入れ次第では、耐久年数よりも永く使える場合もありますので、専用のレザークリームなどで保護することをおすすめします。
「皮」と「革」の違い
「皮」と「革」は同じ読み方の「かわ」ですが、その違いは何か、詳しくご紹介していきます。
「皮」とは
動物の皮膚を包んでいる外側の膜を表しますが、そのまま放置しているとすぐに腐ってしまいます。
英語では、skin(外皮)もしくはhide(獣動物から皮をはいだ、そのままの状態(なめす前)の単語が使われます。
「革(本革)」とは
動物の「皮」を腐らせないようにしたり、柔らかさを保持したりするため、皮膚であった「皮」に「なめし加工」を施したものが、「革(本革)」となります。
「鞣し(なめし)」を通じて革になる
「なめす」とは、「革」を柔らかくすると書いて「鞣し(なめし)」 と読みます。なかなか普段目にしない漢字ですが、「皮」から「革」になっていく工程を指します。
【 革をなめす工程 】
- 動物の生皮から毛皮を取り除く
- 不要な脂肪やたんぱく質を分解させる
- 皮の腐敗を防ぐための薬品処理を施す
- 皮の厚みを均一にする
- 着色を施す
この「なめし加工」を経て「皮」から「革(本革)」へと変化します。ちなみに「皮」から毛を抜かずになめし加工をした場合は、「毛皮」となります。
【 なめし加工の種類 】
「なめし加工」の代表的な加工方法をご紹介していきます。
タンニンなめし
植物由来のタンニン(渋)に漬け込んでいく、古くからある伝統的な工法です。時間も手間もかかるデメリットもありますが、使えば使うほど経年変化を楽しめるのは、タンニンなめしならではの特長ともいえます。
タンニンなめしには「ピットなめし」と「ドラムなめし」の2種類の工法があります。
「ピットなめし」とは、濃度や成分の異なるなめし剤が入った複数の水桶に、順に皮を漬け込んでいく工法をいい、皮の深層部までタンニンを染み込ませる時間や、複数の水桶を用意するスペースも必要なので手間がかかります。
「ドラムなめし」とは、ドラムになめし剤を投入しタンニンをたたき込んでいく工法を指し、ピットなめしと比較すると時間を大幅に短縮でき、スペースもとりません。
【 特徴 】
- なめし剤:天然植物から抽出されるタンニンエキス
- なめし方法:ピットなめし/ドラムなめし
- 革質:ハリ・コシがある
- 革への着色:地革の色に影響を受ける
- なめし期間:数か月
- 経年変化:使うほどに深みが増す
- 耐久性:硬くて丈夫だが表面のキズは付きやすい
- 影響:天然植物成分のため人体や環境にも優しい
クロムなめし
塩基性硫酸クロム塩などの化学薬品をなめし剤として使用する方法を、「クロムなめし」といいます。
この方法は、巨大なドラム型洗濯機に皮を入れ、回しながらなめし剤を徐々に浸透させていくもので、現代のなめしのなかで最も多く使用されている手法です。
クロムなめしは軽くしなやかで、伸縮性が高い状態に仕上げられる特徴を持ちます。この加工により本革自体が丈夫になり、経年劣化しにくくなるメリットを持つ一方で、アレルギー反応が出るおそれがあるのがデメリット。
色落ちやシミにも強い性質から、衣料品やバッグ、スマホケースや名刺入れ、定期入れといった革小物などの加工品に多く使われています。
【特徴】
- なめし剤:塩基性硫酸クロム
- なめし方法:ドラムなめし
- 革質:軽い・しなやか・伸縮性がある
- 革への着色:地革に影響を受けず発色がよい
- なめし期間:なめし剤を浸透させる時間は1日で完了
- 経年変化:経年変化をあまり感じられない
- 耐久性:キズに強く水への耐性もある
- 影響:クロムが金属の一種のためアレルギー反応を起こす可能性がある
混合なめし
「混合なめし」は「コンビネーションなめし」と呼ばれることもあり、2種類以上のなめし剤を使ってなめします。双方の特徴を持ち合わせた工法で、使用するなめし剤の比率の違いによっては仕上がり具合が変わってきます。
代表的なタンニンなめしとクロムなめしを組み合わせた工法の混合なめしでは、タンニンなめしの良さであるエイジングを楽しめ、なおかつクロムなめしの良さである高度な強度と柔軟性を兼ね備えているといわれています。
クロムなめしの後にタンニンなめしを施す(コンビネーションなめし)、逆にタンニンなめしの後でクロムなめしを施す(逆コンビネーションなめし)など、単独のなめし剤では得られない特性が得られるのが混合なめし(コンビネーションなめし)のメリットともいえます。
【特徴】
- なめし剤:天然植物から抽出されるタンニンエキスと塩基性硫酸クロム
- なめし方法:ドラムなめし
- 革質: 革自体が薄く柔らかい
- 革への着色:染料に染まりやすい
- なめし期間:タンニンなめしよりも短時間
- 経年変化:タンニンなめしだけの時よりも経年変化を感じにくい
- 耐久性:クロムなめしだけの時よりも耐熱性は劣る
- 影響:クロムなめし程ではないがアレルギー反応を起こす可能性がある
本革の特徴
文頭でもご紹介したように、本革とは革本来の表情や質感を楽しめる素材です。
動物の皮を加工しているため、天然の証とされる毛穴や血筋などの表情も見られ、レザーウォレットなどは使い込むほど手に馴染む、本革特有の風合いへと変化する経年変化(エイジング)が楽しめます。
吸湿性に優れている分水に弱い点があり、雨などに濡れてしまうとシミの原因になりますが、お手入れ次第では、10年以上経年変化を楽しめるので、通気性のよい場所に保管するなど、定期的なメンテナンスをおすすめします。
よい革の見極め方
よい革の見極め方については、人それぞれ。高級ブランドで取り扱われているメンズやレディースの革財布といった高価な製品から、合皮と区別が付かない安価な製品まで、自身の価値観にピンとくるものに出会えるかなど、個々の好みによって変わってくるのではないでしょうか。
前述した革ごとの性質を理解し、硬さ・厚み・大きさ・加工法・デザインや発色など、製品となって手にとった時の感触がしっくりくるか?ご自身のハートに聞いてみてください。
オーダーメイドやハンドメイドの革製品を検討してみるのも、おすすめ。プレゼントやギフトに選んでも、きっと喜ばれますよ。
革を選ぶ目安として
「革のお手入れが好きで、経年変化を楽しんでいきたい」という方にはオイルレザーやヌメ革がおすすめですし、「お手入れはちょっと面倒だけど革製品を持ちたい」という方には、クロムなめしや混合なめし(コンビネーションなめし)が施された本革がおすすめです。
JOGGOの本革製品
一点ものにふさわしい高品質の牛本革
「想いをこめた一点ものだから、その素材には妥協したくない。」そんな想いから、JOGGOの本革は、タンナーとともに一からつくりあげた、オリジナルレザーです。
素材は、バングラデシュの「イード」と呼ばれる祝祭で、食用後に余った革のみを使用しています。品質はもちろんのこと、継続したものづくりも大切にしています。
※バングラデシュでは年に一度「イード」という、神に牛をささげるイスラム教の祝祭があり、食用後には毎年大量の牛皮が発生します。JOGGOの革製品はすべて、そのイードで食用の肉を採ったあとの革のみを使用しています。
JOGGOオリジナルレザー
JOGGOの本革は、「タンニンなめし」と「クロムなめし」を組み合わせた「混合なめし(コンビネーションなめし)」工法で生産されています。
環境負荷を考え、98%は植物タンニンを使用し、やわらな風合いを出すためにわずかな量のクロムを使用しています。タンニンなめしほどではありませんが、少しの経年変化が楽しめると同時に、クロムなめしの柔らかさや発色性も持ち合わせるのが特長です。
タンニンとクロムの割合によって仕上がりが異なるため、熟練されたタンナー(製革工場の職人)の腕のみせどころでもあります。 長財布といったレザーウォレットやコインケースなど、末永く使っていただけるよう、扱いやすく耐久性に長けた牛本革を選択しました。
現地のタンナーと何度も色を調整し、きれいに発色する仕上げを採用。日常的に使うなかで革製品の変化を楽しめるよう、手触りや質感すべてにこだわっています。
手に吸い付くような柔らかさと、天然皮革ならではの本革の表情が楽しめる点が特長。使い続けると、革製品に上品な艶と光沢感が出てきます。