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なめし(鞣し)とは|革ができるまで

「皮」が「革」になるまで――

みなさんは、どのようにして、動物の「皮」から「革」へ加工されるのか疑問に思ったことはありませんか?

そのまま放っておくと腐敗し、硬くなってしまう動物の皮を、耐久性のある、しなやかな革(レザー)へと変えるのが「なめし(鞣し)」加工です。

今回は、革のなめし加工についてご紹介します。

目次

なめし(鞣し)とは

牛革をなめしたあと、天井から吊り下げて乾燥してさせていてる様子

「なめし(鞣し)」とは、動物の皮から、腐敗の原因となるたんぱく質や脂肪を取り除き、薬品をつかって柔軟性・耐久性をもたせる加工技術のことです。

通常、生皮は時間がたつと水分が抜けて硬くなりますが、タンニンやクロム等のなめし剤をコラーゲンと結合させ、繊維構造を安定化させることで、革を製品へと加工できるようになります。

人と皮革の歴史はとても古く、石器時代から、防寒用の衣服として、テントなどの住居として、革は幅広く利用されてきました。

使用される動物も牛、馬、羊、鮫、へび、きつね、うさぎ、など多種多様。

ここでは最も一般的に使用される牛革のなめしについて、紹介したいと思います。

なめしの種類

なめし加工には、数十に及ぶ工程があります。

タンナー(製革工場)によって、多少順番が異なったり、同じ作業を何度か繰り返したりすることもありますが、大まかな工程は以下です。

  1. 毛を取り除く
  2. 脂肪やたんぱく質を分解、除去
  3. なめす
  4. 漉(す)いて、厚みを均一にする
  5. 染色
  6. 乾燥
  7. 表面を滑らかにする
  8. 仕上げ

工程の詳細はこちらをご参考ください。
一般社団法人日本タンナーズ協会 製革工程

人類は長い歴史のなかで「皮を革にする」ため、試行錯誤を重ね、さまざまな種類のなめし方法を開発してきました。

革の仕上がり・性質に大きく影響するのが、なめしの手法や薬剤の種類です。

種類なめし方
くん煙鞣し煙で燻す
油鞣し魚油(主にタラ油)を浸透させる
口噛み鞣し口で噛む
脳漿鞣し水でといた脳みそに漬ける
タンニン鞣し植物由来のタンニンに漬ける
クロム鞣し重金属クロムに漬ける
アルデヒド鞣しアルデヒド化合物に漬ける
アルミニウム鞣しアルミニウム塩に漬ける
ジルコニウム鞣しジルコニウム塩に漬ける
<なめしの種類一覧>

このなかでも、現在なめし剤の主流となっているのがタンニンクロムの2種類です。

それでは、タンニンなめしとクロムなめしの違いについて詳しくみていきましょう。

タンニンなめし

植物タンニン本来の色を利用した、ヌメ革

タンニンなめしの特徴は、硬くしっかりとして重く、耐久性のある革になる点です。主にベルト、靴、馬具、鞄などに使用されます。

ヌメ革と呼ばれるベージュ色の革を見たことがあるかと思いますが、これは着色していないタンニン本来の色です。

タンニンなめしのメリット

自然由来の素材を使用しているので、革本来の風合いが残り、経年変化(エイジング)も楽しめる革製品となります。

耐久性が高く、長期にわたって革を育てることができます。

「可塑性(かそせい)」という形を保とうとする性質に優れ、革に形を与える加工や、エンボス柄、革工芸品への加工に向いています。

タンニンなめしのデメリット

油や水分をすぐに吸収するため、汚れやすい性質があります。レザークリームなどでよくお手入れをして、革の個性を育てていくのがタンニンなめしの楽しみ方です。

とても人気のある革ですが、生産するのに2週間、手法によっては5か月間という長い手間がかかります。また通常、ピットと呼ばれる大きなプールのような場所に革をじっくりと漬けるため、広大な敷地面積が必要となり、作る量を増やすことも困難です。

生産面では手間が大変かかるため、100%タンニンなめしを行うタンナー(製革工場)の数は年々減少しています。

タンニンなめしの歴史

タンニンなめしは、植物タンニンなめし(ベジタブルタンニンなめし)とも呼ばれ、古代エジプト時代から行われていた歴史ある手法です。

所説ありますが、倒れた木のそばで死んだ獣の皮が腐っていなかったことから発見されたといわれています。

また、草木で染色した革の耐久性が優れていたことからもタンニンが使用されるようになりました。

タンニンなめしの成分

タンニンとは、植物の中に存在する化合物のことで、柿などに含まれる「渋」のこと。

ワインや紅茶の渋みもタンニンです。

向き不向きがありますが、基本的にどんな植物タンニンでもなめすことができるため、ワインや紅茶を使用することは可能です。

日本では主にアカシア属植物(主にミモザ)から抽出されたタンニンを使用するのが一般的。

その他にも、ヨーロッパのチェストナット、南米のケブラチヨ(ケブラコ)と呼ばれる木から抽出されたタンニンがあります。

クロムなめし

発色がよく、柔らかな風合いのレザー

クロムなめし最大の特徴は、その伸縮性に優れたしなやかさ。

弾力性、柔軟性、耐水性、耐熱性に優れており、衣服、財布、バッグ、ソファなどさまざまな場所で使用されます。

クロムなめしのメリット

タンニンなめしに比べ、加工時間が1日~5日間と短時間でありながら、柔らかな革に仕上げることができます。

また、クロムの影響で革が青白っぽく仕上がるため、着色がしやすく発色が良いなど、生産上のメリットも多いなめし方法です。

クロムなめしのデメリット

クロムなめしは、経年による変化があまりなく、エイジングを楽しむのには向いていません。

革本来の質感や風合いは、失われてしまう傾向にあります。

クロムなめしの歴史

およそ100年前、ドイツでクロム、アルミニウムなど、金属化合物を用いたなめし方法が確立されました。重金属系なめしと総称され、なかでも耐熱性が高く、生産面の利点からクロムが主流となりました。

現在では、流通している約8割の革がクロムなめしで加工されているといわれます。

クロムなめしの成分

クロムは、塩基性硫酸クロムの略称です。

かつては有害な六価クロムが使用されていた時期もありましたが、現在は規制が厳しくなり、人体に無害な三価クロムが使用されています。

三価クロム自体は無害ですが、焼却などにより酸化が進むと六価クロムに変化するという性質を持ちます。そのため、加工工程、汚水処理など、きちんとした環境管理が行われたタンナー(製革工場)で製造を行うことがとても重要です。

また、クロムは金属なので金属アレルギーの方は気を付ける必要があるなめし方法です。

コンビなめし(混合なめし)

「タンニンなめし」と「クロムなめし」を掛け合わせた「コンビなめし(混合なめし)」という方法もあります。

タンニンなめしほどではありませんが、少しの経年変化が楽しめると同時に、クロムなめしの柔らかさや発色性も持ち合わせます。

タンニンとクロムの割合によって仕上がりが異なるため、熟練されたタンナー(製革工場)の腕のみせどころです。

わたしたちJOGGOの革も、コンビなめしで生産されています。

環境負荷を考え98%は植物タンニンを使用し、やわらな風合いを出すためにわずかな量のクロムを使用しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

なめしの仕組み、主流であるタンニンなめしとクロムなめしの特徴、メリット・デメリットを少し知っていただけたかと思います。

今回は数種類のなめし方法を紹介しましたが、タンナー(製革工場)は常に原皮・環境に適したなめし方法の研究を重ねています。

そのため、現在も新しいなめし剤や手法が、次々と生まれています。

わたしたちJOGGOも、常に新しい技術に敏感になり、製品と自然環境に最適な革にアップデートしていきたく思います。

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