「エイジング」とは、「経時(時間が経過すること)」という意味があり、時間と共に起こる変化のことを指します。
お肉を熟成させる「エイジングビーフ」や、美容業界での年齢に応じた肌のお手入れ「エイジングケア」など、さまざまな場面で使用される言葉です。
このコラムでは、本革製品における「エイジング」の仕組みと魅力を、わかりやすく解説していきます。
エイジング(経年変化)とは
本革製品の「エイジング」とは、製品を使用するに従って、レザー自体や全体の雰囲気が変化することです。
当然どんなレザーでも時間と共に変化はありますが、一般的に「エイジング」は色味、艶、形の変化を楽しむという、ポジティブな意味合いで使用されます。
新品の革製品や革小物を購入する時、「これからどんなエイジングをしていくんだろう」と想像し、世界に一つだけのアイテムを育てることが、本革製品の醍醐味ともいえるでしょう。
エイジング(経年変化)する本革とは
実は、すべてのレザーが美しくエイジングするわけではなく、エイジングを楽しめる種類と、そうでないものがあります。
レザーは「鞣し(なめし)」と「染め」という重要な工程を経てつくられており、これらはエイジングと深い関係があります。
鞣し(なめし)とエイジング
「鞣し(なめし)」とは、動物の皮から、腐敗の原因となるたんぱく質や脂肪を取り除き、薬品をつかって柔軟性・耐久性をもたせる加工技術のことです。
なめし(鞣し)とはより
鞣しには、植物タンニンを使用としたタンニン鞣しと、クロム化合物を使用したクロム鞣しの2種類があります。
タンニンとは植物の「渋」を指し、自然由来のタンニンで鞣されたレザーをナチュラルレザーと呼ぶ場合もあります。
タンニンは空気に触れると酸化する性質があり、タンニン鞣しでつくられたレザーは、月日と共に深い色へと変化します。そのため、タンニン鞣しはエイジングに適した鞣し方法です。
実際、クロムレザーは短期間で大量に柔らかな本革を生産できるメリットの多い鞣し方法ですが、クロムは耐熱性に優れているため、表情の変化が乏しくエイジングに向いていません。
染めとエイジング
みなさんが目にする本革製品にはほとんど色がついており、その着色方法には、染料仕上げと顔料仕上げがあります。
染料仕上げは、染料を溶かした水に革を漬け、繊維の間に染み込んで染める手法。革の内側から色が入るため、自然な表情が特徴です。
表面には動物本来のシボ・血筋・色むら・虫刺されといった個性が残され、いわゆる「すっぴん」状態なので、油分などが染みこみやすく表情が変化します。染料仕上げは、エイジングに向いています。
一方の顔料仕上げは、お化粧のような感じで、革の表面に水分・油分に強い顔料を乗せていく手法です。
発色がよく明るい色の革製品に向いており、お手入れも少なく済む着色方法ですが、油分が革自体に染み込むことはないため、個性あるエイジングは期待できません。
総合すると、タンニン鞣しの染料仕上げで生産されたレザーがエイジングに最適、ということになります。
エイジングに向いている本革の種類としては、以下のような種類があります。
- ヌメ革
- ブライドルレザー
- オイルレザー
- コードバン
- ブッテーロ(ワルピエ社)
- ミネルバ(ダラッシィ・カルロ社)
- プエブロ(バダラッシ・カルロ社)
エイジング(経年変化)の種類
それでは、革を育てる楽しみ「エイジング」にはどんな種類があるのでしょうか。
・色味
本革は、人間の皮膚と同じように、乾燥したらシワになったり、日に焼けたりします。
バッグや革小物など使用している人の汗や脂に反応して色が濃くなり、先ほど書いたように、タンニンが空気によって酸化することで色がより濃く変化するのが特徴です。
明るい色の変化は顕著で、ヌメ革と呼ばれる、染色をしていないタンニン鞣し本来の色(淡いベージュ)の本革は、色の変化が激しく、飴色、キャメルと呼ばれるようになるまで茶色くなります。
・艶(ツヤ)
革は、油分や水分を吸収する性質をもちます。
色味への影響に加え、染み込んだオイルが徐々に表面へ染み出し、それによって本革特有の美しい「艶(ツヤ)」となって現れます。
例えば、メンズのレザーウォレットやキーケースなどの革小物をバックポケットに入れて使用し摩擦によって現れる艶や、オイルやクリームで手入れをして磨くことで出る艶もあります。
また、黒いレザーはあまり色味の変化を楽しむことはできませんが、艶やかに光る黒いレザーにはほかの色には表現できない美しさがあります。
艶が出ていることは、表面の凹凸が摩擦によってフラットになっている証拠。オイルの質感と合わさって、吸い付くような手触りとなるのです。
・形
レザーの種類、鞣し方法にもよりますが、本革は基本的に硬く、張りがあります。
本革は繊維質でできているので、時間がたつと繊維が柔らかく、また圧縮されて少しスリムになります。
最初は硬く角ばっていた革の長財布やコインケース、パスケースなども、だんだんと角が取れて丸くなります。ボタンやハトメの跡が表に出てきたり、自分の手に馴染むたった一つ製品を育てるのも、エイジングの楽しみ方の1つです。
エイジング(経年変化)の色の変化とは
美しくエイジング(経年変化)させるには?
本革は、どんなに高品質のものであっても、種類によってはメンテナンスを欠かせません。定期的に手入れを行い、保管する場合には型崩れ・シミ・カビに気をつかうことによって、美しいエイジングへとつながります。
新品の場合・使いはじめる前に
革は、油分や水分を吸収する性質を持ちます。
新品の製品は、まだ表面に油分の膜ができていないため、シミが付きやすい状態。
最初に本革専用のオイルやクリームを塗りこむことで、薄い保護膜をつくりシミからレザーを守る役割を果たします。
また、水は本革製品の大敵。雨、汗などの水分は大敵なので、防水スプレーなどで予防をするといいでしょう。頻繁に使うスマホケースやキーケースなども注意して扱ってください。
※レザーの種類によってはクリームを避けたほうがよい場合や、防水スプレーがシミの原因になる場合がありますのでご注意ください。
ヌメ革の場合
ナチュラルレザーであるヌメ革は、一般的に使用する前に「日光浴」をさせるといいとされています。
<ヌメ革、日光浴のメリット>
1、日光に当てることで内部のオイルが染み出してきて、保護膜を作る
2、最初に全体的に日焼けを作ることで、後で頻繁に触る部分と触らない部分の色やツヤの差がない状態にできる
3、エイジングを早められる
日光浴は1カ月程かけて、じっくりと行います。直射日光ではなく、日差しが少し差し込む程度の窓際に製品を置きます。人間の肌と一緒で、日焼けをすると乾燥してしまうので、日光浴が終了したらオイルやクリームで保湿をしてあげましょう。
※防水スプレーは、紫外線を防ぐ成分が入っている種類があるため、エイジングに影響する場合があります。とくにヌメ革はお好みによって使用するかどうかをご判断ください。
メンテナンス・永く使うために
本革のメンテナンスで一番大切なのが、ブラッシングです。
毎日ではなくても、定期的にブラッシングをしてほこりを落とし、革のオイルを引き出してあげることで自然なエイジングが楽しめます。
革に付着する汚れ・ほこりは、見た目が汚いこともありますが、革の油分を吸着して乾燥を促してしまいます。わざわざクリームを使用しなくても、ブラッシングをするだけ十分に艶を引き出せるのです。
革用のブラシには、馬毛・豚毛・化繊毛・山羊毛などがあり用途によって使い分けられます。
基本は、馬毛のブラシで軽くお手入れをするだけで十分です。
早くエイジング(経年変化)させるには?
レザー好きの方であれば、名刺入れやブックカバーなど本革の新品商品を早くエイジングをさせ、格好よく持ち歩きたいという方もいらっしゃるでしょう。ここでは、どうしたら早くエイジングさせられるかを説明します。
1. 革の種類
タンニン鞣しの染料仕上げで生産されたレザーがエイジングに最適なのはお伝えしましたが、そのなかでもどんなレザーを選ぶほうがいいのでしょうか?
おススメはオイルレザー。
オイルレザーは、本革にオイルをたっぷり染み込ませているため、よりしなやかに、しっとりとした質感が特徴です。オイルレザーを選ぶことで、使っているだけでオイルがしみだし、上品な艶を与えてくれます。
ヌメ革などは逆にオイルが入っていないため、染み出してくるオイルがなく、少し艶がでるのに時間がかかる傾向にあります。
ただクリームを薄く塗り日光浴をさせ、ムラのないキレイな日焼けをさせて土台を作ることが、エイジングへの近道になります。
2. 使用頻度
革製品は、手の油分などを吸収してエイジングするため、使用頻度が高いほうがエイジングが早く進みます。そのため、革財布やレザーのキーケースはとくにブラッシングや、クリームなどを塗らなくても艶が出てくるでしょう。
靴やカバンなどは、毎日使用に休息日を設けて、ブラッシングを丁寧に行うほうがきれいに早くエイジングする場合もあります。使用頻度はアイテムによって使い分けましょう。
3.クリーム・オイル
レザーの色を変化させる1つの手段が、クリームやオイルを塗ることです。
デリケートクリームや、ニートフットオイル(Neatfood Oil)、ラナパーなど、レザーの種類や状態によって使用するものを変えます。
たとえば、ニートフットオイルは牛脚油とも呼ばれ、その名の通り牛から取ったオイル。とくに牛革に使用すると、同じ動物の成分なので浸透性が高く、栄養が全体に行き渡ります。
クリームやオイルを塗る際には、本当に少量をウエスに取り、素早く均一に、薄く塗りましょう。そして、余分な油分はすぐに乾いた布でふき取ることも重要です。
またレザーの表面が乾燥していなければ、無理をしてクリームやオイルを塗りこむ必要はありませんので、塗りすぎに注意しましょう。
エイジング(経年変化)に失敗したときの対処法
エイジングしたきれいなレザーを楽しみにしていたのに、失敗してしまったという場合はどうでしょうか。
主な失敗としては、以下が挙げられます。
- クリームやオイルを塗りすぎてシミになった
- 汗や雨で染みになった
- 乾燥して、ひび割れた
- カビが生えた
革製品は一度ついてしまったシミ・ひび・カビは、オイルなどで目立たせなくすることはできますが、完全に取り除くことは困難です。
そのため、日頃からのメンテナンスが大切といえます。
汚くエイジングしてしまった革は再生が難しいので、プロにお任せして修理が高額になってしまう場合も。
ぜひエイジングとメンテナンスについて正しい知識を身に付けて、素敵なエイジングを楽しみましょう。
JOGGOの本革製品
ここまで、革製品のエイジングの魅力を紹介してきました。
エイジングは、既製品を自分だけのアイテムに育てられるレザーの魅力です。
もしアイテムを自分が好きな色の組み合わせでデザインできるとしたら、更に愛着がわくと思いませんか?
実は、そんな願いをかなえてくれるのが、カスタマイズブランドのJOGGOです。
ここから、JOGGOの魅力をお伝えしますので、ぜひのぞいていってください。
魅力1 豊富な色、革のオプション
JOGGO製品の革製品には2種類のレザーを用意しています。
鮮やかな色を楽しんでもらうための顔料仕上げのオリジナルレザーと、エイジングを楽しんでもらうためのオイルスムースレザーです。
自分用はもちろん、メンズ・レディースを問わずプレゼントにも最適。
相手の好きな色や、ラッキーカラーを思い浮かべながらデザインするのも楽しいですよ。
- オリジナルレザー
JOGGOのオリジナルレザーは、なんと14色。商品は42種類からお選びいただき、オーダーメイドを承ります。
顔料仕上げをしているので、明るい色が美しく、比較的汚れ・キズに強いのが特徴です。自分の個性を、鮮やかな色で表現したい方にはピッタリのラインでしょう。
ただ、顔料仕上げのため、エイジングを楽しむのには少し向いていないレザーといえるかもしれません。
- オイルスムースレザー
JOGGOのハイエンドラインENISHIシリーズは、国内姫路産のオイルスムースレザーを使用しています。
オイルスムースレザーの魅力は、何といってもエイジングです。
こちらも14色用意していますので、淡い色やヌメ革で色の変化をどんどん楽しんだり、濃い色を選んで美しい艶を作り出すのも、すべてあなた次第です。
オイルスムースレザーは、キズや汚れに注意する必要があるので、メンテナンスを怠らず、世界に1つだけの、ハンドメイドの本革アイテムを育ててみてください。
魅力2 名入れが無料でできる
JOGGOでは、12文字まで名入れができます。
オーダーメイドで好きな組み合わせを選んで、名入れもできるとなれば、さらに特別感が増すことは間違いありません。
名前やイニシャル、記念日など、革財布やレザーキーケースにお揃いで名入れができるのも素敵です。大切な方へのギフトにも最適です。